その後、ルカは被害を最小限に抑えるべく、アンジュ、ユールと密かに声をかけ荷物の準備をさせた。

レインも途中でティアの真っ黒オーラに気付き、そっと側を離れた。


ユールの身の安全の確保も終わり、次にユリア救出にルカが一歩踏み出そうとしたとき、レインがルカの肩を掴んだ。


「…？おい……？」

「もう行かない方がいいです……残念ですがユリアとユーリはもう間に合いません。
手遅れです」

「手遅れって…」



ルカが聞き返しかけたとき、遂にティアが爆発した。



「……ちょっと……なんなのよあなた達はああああああ‼」


「ふぇっ?!」

「げっ…ヤっヤバい！死ぬ！」


ユーリが逃げ出そうと足をばたつかせたが。


──ドガァッ─


ティアに吹っ飛ばされたユーリは浮き上がり、地面に叩きつけられた。

ティアはゆっくりとユーリに近付いていく。

ティアの意識がユーリに集中したのを見計らってユリアはアンジュ達のもとに駆け寄った。


「こ、恐かった……死ぬかと思った………」

「なら何故ああなる前に止めなかったんです」

「そ、そんな事言ったって……」


ユリアが恐怖に震える前では、ティアがユーリを大声でガツガツと説教している。
あれをもろ正面から食らっているユーリの精神はさぞごりごりと削られていることだろう。


「幸運ですね……ユリア、あなた……」

「うん…助かった……。
ごめんね、ユーリ…………」






「……ふぅ。
ごめんなさいね、みんな。
じゃあ、早速出発しましょうか」

「「「「「…うん…」」」」」


約30分後。

ティアの説教は終わり、真っ黒オーラは消えたが、ユーリの魂の抜けた脱け殻がそこには捨てられていた。