12月24日。


この日はクリスマスイヴであると同時に、寮生活の魔法学校の生徒達にとっては、帰省すべき冬休み第1日目でもあった。

7人で遊園地に行くティア達も遊園地で遊び終わった後、そのまま実家に帰る予定である。


そのため──



「わぁ～すごいすごい！
私本物のペガサスこんな近くで見たことない！」

「へぇ……白いな。ペガサスって」

「ルカお前ペガサス見た反応薄すぎだろ…。
フツーユリアみたいなので当たり前だと思うぜ」

「ほえぇ…ペガサスってかっこいいんだなぁ…引き締まってる…」

「胴体は動物の毛なのに翼だけ羽毛生えてる…。
どうなってるんだろ…ここ……」

「ほら、アンジュもユールも、ペガサスは基本人慣れしませんから気を付けてください」


「………というか早く準備して出発しようって、何回言わせれば気が済むのよあなた達は！」




──ティアは学校に置かせてもらっていたペガサスのファイを同行させなければならなかった。

お陰でさっきからファイは注目を集めっぱなしでイライラしている。

ファイが暴れると大変なのを知っているティアはさっさと出発したいのだが、彼らがファイから離れる気配は全く無い。

ファイに夢中の彼らは気付いていないが、ファイのイライラが伝染してきたティアは真っ黒なオーラを纏っていた。






ティアの黒々としたオーラにいち早く気付いたのはルカだった。
ブラックジュニの殺気を真正面から受けてしまった彼は、黒いオーラに敏感になっているのかもしれない。

ティアの表情に気付いた彼はすぐに踵を返して荷物を纏め、自分はOKだとアピールした。