試合は試験に支障がなければ観戦していてもいいことになっていた。
ルカの試合を見るため、皆で試合場所へ移動する。


ルカは既に試合開始位置に着き、対戦相手の男子と向き合っていた。
ギャラリーからは「ルカ様頑張ってー‼」という女子ファン達の黄色い声援が山ほどかけられていた。


「ルカも大変だね…。
いつもアンダンテにいるのよくわかるよ」


そうしみじみと呟くアンジュ。
だが、アンジュは他の5人も毎朝同じような目にあっていること、
アンジュ自身も影では同じように呼ばれ、かなりモテていること、
そして、それでもアンジュの前でそのようなことにならないのは、ある庇護者の存在があるということを知らなかった。

アンジュの呟きに、5人は疲れたように顔を見合わせ笑った。



その時、ルカの試合の開始合図が出された。
すぐに対戦相手はルカに向かって大きな炎を放射した。

ルカは一瞬で炎に包まれる。

「きゃー‼」「いやー‼ルカ様ー‼」という女子の悲鳴が一気にあがり、そのなかで観戦しているティア達にしてみれば、耳が壊れそうで仕方なかった。

少しして、炎が退けてくると、だんだん中のルカが見えてくる。

ルカは…全くの無傷だった。


「嘘、すごい!ねね、なんで?!」

「おそらく防御魔法を張ったのでしょう。
今の魔法結構スピードがありませんでしたし、難しくはなかったと思いますよ、彼なら」


そうして話している間にも、ルカは炎、氷、雷と次々と息つく間もなく魔法を繰り出して、相手を疲れきらせて気絶させてしまった。

「ルカ様ー‼カッコいいー‼」という女子達の叫び声が試合終了の合図となった。

試合が終わり、戻ってきたルカに声を掛ける。


「おつかれー。
すごかったねー!試合!」

「女子の悲鳴もなー」

「あれ、煩くてしょうがない…気が散る」


ルカも女子達の歓声についてはあまりよく思っていないようだ。

すぐにレインの試合があるため、そちらに移動することになった。