魔法学校の最強魔法使い( Ⅰ )

それを聞いて、ティアは安心させるようににっこりと微笑む。


「大丈夫、それは分かってるわ。
ちゃんと見てたから」

「え、見てた……?」


ティアの発言に信じられず固まるベル。
ははっと笑ってティアも説明した。


「実はここに映像を転送する魔法具を設置してたのよ。
それで、あなた達を見つけてここまで来たの」

「そ、そうだったんですか…」

「えぇ、それよりその持ってる紙見せて」


そうして彼女から受け取った紙は、やはり試験の模範解答だった。
ただしそれは一年生のではなく、三年生の試験のもの。

これなら先生に言ってもベルが疑われることはないだろう。
疑われたとしても、証拠の魔法具がある。
心配はない。


「さっきの男、何年生だったか分かる?」

「ネクタイが黒かったから、多分四年生です…」

「四年生ね、分かった。
一緒に先生のところに行きましょう」


ティアはベルの手を取り職員室に向かおうとしたが、ベルの足は動かない。
どうしたのかと見てみると、ベルは今にも泣きそうな顔をして俯いていた。


「あ、あの……さっきの男が、 告げ口したらどうなるか分かってるなって……。
い、言わない方がいいです、なんかひどいことされるんです」


そう言ったベルは本当に怯えていて、必死だ。
しかし、その心配も必要なかった。


「あなたのリボン白いでしょ。
あいつはあなたを三年生だと思ってるはずよ。
だから三年生の試験の模範解答渡したんだろうし。
だから、あいつが報復しようと三年生を探してもあなたは見付からない。

それに、これがバレればそれなりの処分が下るはずだし。
大丈夫よ」


本当?と訴え掛けるベルの目をしっかり見てはっきりと頷く。

ティアは今度こそ、ベルを連れて職員室へ歩いていった。