微笑ましい光景を眺めていると、茶色い髪を左側でまとめたカットソーTシャツの女の子が明るい茶色の瞳をティアに向けて隣に座った。

「こんにちは!私ユリアっていうの。あなたは?」

「ノルティアよ。ティアって呼んで」

「ティアね。でもノルティアって聞いたことない名前だね」

「人間が信じてる神様の名前らしいわ。運命の女神だかなんだか」

「なるほど〜。ところで、ティアって新入生?」

「ええ、そうよ。今18歳」

魔法学校は大抵小学校、中学校、高校を卒業して入るため現役生なら18歳で入学する。
ティアはだいぶ前に飛び級で高校を卒業していたが魔法学校は18歳以上が入学条件だったため、それまでルーメンで魔法のない世界を経験し、今年遂に魔法学校に入学することになった。

「そうなんだ、私も今年入学なんだ。
あ、車内販売来た。9月だし暑いよね、水飲む?」

ユリアは気遣いができる上人懐っこい。
いい友達になれそうだとティアは思っていた。

「大丈夫よ、ありがとう」

そこからユリアとガールズトークをしながら魔法学校までの時間を過ごす。
たまに新入生が魔法に失敗して爆発を起こし、同乗していた上級生に怒られるのを見ながら、ティアはこれからの生活に思いをはせた。