魔法学校の最強魔法使い（ Ⅰ ）

昼休みになってもティアはカフェには行かず、自分の部屋の寝室で監視を続けていた。
魔法具の映像には何の変化もなく、ただ時間だけが過ぎる。

そろそろ飽きてきたなと思い始めた頃、ひと気のない階段に仕掛けた魔法具の映像にベージュの髪の女子生徒が写り込んだ。


ティアが気になって見ていると、そこに金髪の男子が走ってきて女子生徒にぶつかった。
ぶつけられて尻餅をついた女子生徒の前に、男子生徒が持っていた書類が散らばる。

謝りなからその書類を拾おうとした彼女が、書類を見てその動きを止めた。


『えっ…これ……』


その姿を見た男子生徒はチッと舌打ちし、女子生徒の肩を突然グッと掴んだ。


『これはくれてやる。
だから絶対告げ口すんな。
したらどうなるか…分かってんな？』

『ひっ……』


怯える彼女を一人残し、金髪男子生徒は走っていった。

彼女はふるふると震えて動かないままだ。



これは流出した模範解答である可能性が高い。
急がなければ、女子生徒を見失ってしまう。


ティアは現場に向かって走り出した。