魔法学校の最強魔法使い( Ⅰ )

レインも朝、模範解答流出の噂は聞いていた。
そのため今、休み時間のレインは周りの情報通に話を聞いて回っている最中だった。


「レイン」


そんなレインにティアは迷いなく声を掛けた。


「…ティアですか。
やっぱり、模範解答流出の件で?」

「えぇ、学校内屈指の情報通のあなたなら今頃何か掴んでるんじゃないかしらって」

「結果は上々…とは残念ながらいっていません。
噂は先生が『問題が足りない!』って職員室で叫んだのを生徒が聞いて広がったみたいですし」

「ふーん…私の目標は一年生に流れてこないようにすることよ。
だから、一年生に絞って調査をするつもり」


レインは軽く目を見開く。


「他学年で起こったことなのに?」

「後二日じゃそこまで無理よ。
そういう取引をしてる一年生がいないかを調べるわ。
あなたのクラスで最近サボった人とか、欠席した人いない?」

「僕のところはいませんが……放課後や朝というのは考えられないのですか?」

「だから一応全ての空き教室には魔法具を仕掛けてきたわ。
あとはあなた達の教室だけ」



あの青い石は、映像と音声を録音する魔法具だ。
一時間目の間にティアは魔法具を作り、空き教室に仕掛けていた。
そして、各クラスの教室にはアンジュ達に魔法具を託して仕掛けてもらうことにし、レイン以外の皆にはすでに渡し終わっている。



「ティアはこれからどうするんです?」

「魔法具の映像の監視をするわ。
こっちに転送するようになってるから」

「はぁ…仕方ないですね。
気を付けて下さいよ」

「大丈夫よ。
それ、よろしくね」

「分かりました」


ティアの意図を理解したレインは、彼女の案にのった。