魔法学校の最強魔法使い（ Ⅰ ）

喫茶店、アンダンテはシックな内装で、落ち着いたふいんきを醸し出していた。

アンティークの時計やコーヒー挽きが置かれたカウンターでは、マスターらしき小父さんが白いワイシャツに黒いエプロンをしてコーヒーカップを磨いていた。
入ってきたティア達に気付くと柔らかく微笑んでまた手元のカップに視線を戻す。

見渡してみると、窓辺の4人テーブルでヘッドホンをつけて外を眺める茶髪の男子がいた。
ゆっくり静かに時間が流れていくこの空間で、彼の姿はよく馴染んでいた。

きっと彼が総合Ｂクラス1番、ルカだろう。

そっと彼に近づき、話しかけてみる。


「…いいかしら」

「……何」


男性にしては高めの声だ。


「あなたが…ルカ、さん？」

「………だから？」


あってた。

一同とりあえずそのことにほっとする。

だが、ちらっとティア達を見たルカの表情は芳しくない。


「私は総合Ａクラス1番のティアよ。
総合Ｂクラスの1番のあなたがどんな人なのか気になったから」

「仲間引き連れてきたってわけ？」


どうやらいじめっ子的なものと思われてしまったらしい。

誤解を解くため、アンジュ達の自己紹介もする。


「俺はユーリ。
肉体派Ｂクラスの1番だ、よろしくな！」

「僕は肉体派Ａクラス1番のレインです」

「私は頭脳派Ｂクラスの1番になった、ユリア！
で、こっちの知的な美少女が頭脳派Ａクラス1番のユールで、こっちのほんわか美少女があなたと同じクラスのアンジュよ！」

「ユリア……私、別にしゃべれる…」

「そ、そうだよ……それに紹介なんか変だし…」

「諦めろって。
ユリアがこういう奴だってのは１ヶ月でよぉく分かったし」

「こういう奴ってなによー！」


途中で話が脱線したまま騒ぐ皆に、ルカは呆気にとられていた。