そこまで思い出した後、ティアは現状に意識を向ける。

ティアは今、これから入学するステュアート魔法学校に向かう学生用送迎列車に乗っている。

そしてどうやらティアの近くに座っていた人達は皆新入生だったらしく、興奮しているのか、お菓子を広げて大騒ぎしていた。
今は、どんな魔法を使えるのか見せ合いっこしている。

黒髪アジア系の男の子が杖とコップを手にとった。
ウィッチ族─俗にいう魔法使いの一族─は髪や肌等、人それぞれだ。

男の子が呪文を唱えてコップに杖を向けると、白かったコップはピンクに変わった。

「お兄ちゃんすごい!わたしもできる?!」

男の子の隣にいた肩までの黒髪の女の子が興奮して男の子に聞いた。

「できるようになるって。入学して勉強すりゃ」

男の子が女の子の頭を撫でながらピンクになったコップを女の子に渡す。
どうやら二人は兄妹のようだ。