数日後、ティアの父親であるガイアは依頼を受けていた村に来ていた。
彼の手には依頼書と、やたら大きな袋がある。

村長らしき人がガイアに話し始めた。


「どうぞお越し下さいました。して、依頼の方は……」

「しっかり果たさせていただきました。
ご確認下さい」


そう言って持っていた大きな袋の中身を出す。

それはティアが倒した巨大蛇の牙と皮一片。
ティアは学校に帰った後、退治した証拠として牙と皮を、手紙を持ってきたあの鷹に持たせてガイアの元へ送っていたのだった。

村長や見に来た村の人々は、ガイアが出した大きな牙に驚く。
しかし、子供一人分はあろうかというその大きさに、本当に倒したのだろうかと、村人達の間で疑問が広がっていく。

村長が本物なのかと口にする前に、一人の青年が声をあげた。


「これ本物だ!この皮の傷、オレがつけた奴だ!
間違いねぇ!すげぇぜおっさん!」


その言葉で村人達は本物だと信じたようで、あちこちからすごいと声が上がった。

こうなることを見越して皮も送ってきた娘を誇らしく思いつつ、おっさんと言われむっとなったガイアは、眉間に軽く皺を作りながらも笑みを浮かべ、ちょっとした仕返しにと爆弾を投下する。


「いえ、実はその魔物、私ではなく、私の娘が倒したんですよ。
一人で」


それを聞いて驚きでピクリとも動かなくなった村人達を尻目に眉間の皺を消しつつ、ガイアは村を後にした。