「あっ、あかねちゃん!
同じクラスやってんな〜」
近くまで行くと、一番手前にいた子が気づいて声を掛けてくれた。
奥にいた子も、笑顔で話し掛けてくれて内心ホッとため息をついた。
返事をしながら話の輪に入って、そこから先生が来るまでしゃべり続けていた。
「みなさん、入学おめでとうございます!わたしは、担任の前田です。」
担任は女の先生で、優しそうな顔をしたおばさん。
うちは1番の後ろの席に座りながら教室全体をぐるりと見回す。
うわー、隣の人ぜんっぜん知らん人や。
前の席は、まぁ知ってる男子。
そしてうちの視線はある一点でピタリと止まった。
それは三つ前の席。
そこは空席になっていた。
まだ来てないやん。
寝坊したんかな?

