響輝はもう既に帰る準備をしていた。



ここから先生がきて終礼するから、聞くなら放課後?


それとも今?



今はちょうどいつも一緒におる男子はおらんし、ザワザワしてるから注目されることもないし。


いま、しかないかな…



うちはリュックに荷物を詰め込んでいる響輝に声をかけた。




「な、なぁ、響輝〜」



自然に、自然に、かるーいノリで



「ん?」


「あのさ、あの、えーっと」


「なに?口が魚みたいになってるけど」



かるーいノリで、かるーいノリ……




「めっちゃいきなりやけどさあっ、
響輝って好きな人おるんっ!?」


「は?」




言えたっ全然かるーいノリじゃないけど言ったよ!


達成感で千鶴の方を見たけど、彼女は近くの席の子と喋っていた。



おい!見とけよ!
せっかく頑張ったのに〜



「なんで?いきなりすぎるやろ」



千鶴にじとーっとした目線を送っていると、響輝の苦笑まじりの声が聞こえた。



「さっき千鶴と好きな人の話しててさ、ちょっと気になったってゆうか、ね!」


「ふーん。
教えてほしい?好きな人おるかどうか」


「いや?別に!?
そこまで気になってるわけでは…」


「んーおるっちゃおるかなぁ。」


「……え。」


「え?なにその顔。意外?」


「おる、ん?」


「まぁどちらかといえば」