ブラックバカラをあなたへ

食堂に着くと、じぃがドアを開けてくれた。




ドアの先を見ると、長テーブルと椅子が何脚かあり、その内三脚には人が座っていた。




3人ということは、兄さん達で間違いないだろう。




食堂に入り、みんなの元へと行く。




「久しぶり、葉音!会いたかったよ!何年ぶりかな?」




一番初めに話しかけてきたのは、兄の中では一番マシな三男、里葉|《さとは》。




なぜか、私を溺愛している。




普段は温厚で、優しくしてくれるし、私も嫌いではないけれど…




少し、ヤンデレ気味なのがたまに傷。




「久しぶり。さぁ、何年ぶりだったかな…忘れた」




「相変わらず、葉音は冷たいなぁ…まぁ、そこも好きだけど!」




あぁ、はいはい。




里葉は妹目線抜きにしても整った顔立ちをしていると思う。




きっと、モテたことだろう。




なのに、なのに、なんでシスコンになったの!?




勿体無い!!




「はぁ…また、お前とご飯を食べることになるとはな…最悪だ」




そう言って、私を睨みつけるのは次男の夜里|《やざと》。




何故か、こいつだけはデブ。




痩せたらかっこよくなるだろうに、いつも部屋から出てこない引きこもりだからか、この容姿から変わったことはない。




「なんもできねぇお前が、葉音を悪く言うんじゃねぇ。食べたくねぇなら、お前がどっかに行けばいいだけだろ」




あーあ、始まった。




ブラック里葉だよ。




目が怖い。




今にでも夜里を殺しそう。




私を目の敵にしている夜里に、私を溺愛する里葉は、いつも言い争いを繰り返す。




私はそれを傍観するだけ。




けれど、今日は用があって来たのだ。




それに、こんな家に長居したくもない。




「はいはい、そこまで。私、すぐに帰りたいから、もうご飯食べるね」




私は里葉の隣の椅子に座る。




私は出されている料理を見て、涎が垂れそうになった。




だって、すっごく美味しそうなんだもん…!!




一人暮らしをしている私は、簡単な料理しかしてこなかった。




だから、こんな立派な料理を食べるのは久しぶりで。




「いただきます!」




私は、一足先に手を合わせて食べ始める。




「〜〜〜〜〜んん!っっ美味しい!!」




ほっぺがとろけそぉ。




幸せぇ…




本当に美味しすぎて、私は貪り尽くす。




気づくと、一番先に食べ終わってしまった。




「ごちそうさま!」




「んなっ、おめぇ、俺より先に食べ終わってんじゃねぇ!」




いやいや。




何、くだらないことで怒ってるの?




てか、夜里と対決してた覚えないです。




私は冷めた目で夜里を見る。




それよりも、肝心なあの人がここにいない。




書斎にでもいるのだろうか。




それとも自室?




それに、会わせたい人って誰…?




「父さんなら、書斎だよ」




私が一人で悶々としていると、さっきまで、一度も口を開かなったあいつがそう教えてくれた。




長男の音夜|《おとや》。




この世で一番大嫌いで、一番憎いやつ。




私の弟を殺した、最低最悪で極悪非道な兄。




私はこいつを一生許さないだろう。




こいつのせいで私の幸せは奪われた。




「あっそ」




教えてくれたお礼なんて言わない。




言えるわけない。




こんな奴に感謝の言葉なんて勿体なさすぎる。




私は椅子から腰を上げて、書斎へと向かった。