あれから時々、皇夜のみんなが空き教室に来るようになった。




碧斗と咲満の2人は私たちに関わろうとしはしないけれど、他の3人は優奈と燈と春実とはよく話していた。




そんなある日。




昼休みが終わって5限目が始まっている時間に、私と優奈と燈の3人で談笑していると、皇夜のみんながやって来た。




また来たのかと思ったが、私は気にせず、お喋りを続ける。




その中に自然と結我と薙が加わった。




滾はゲームをしている春実の方に向かったらしい。




話ながら2人でゲームを楽しんでいた。




普通の友達みたいな関係になっちゃったな。




「なあ、前の幹部達って、この学校ではどんな存在だった?」




急に結我がそんなことを聞くもんだから、私たちは驚いて、変な間が出来てしまった。




「王子様…みたいな感じかな」




燈が眉を下げる。




「みんなの憧れみたいな。でも、近寄り難い存在じゃなくて、自然とみんなの中心にいる人達だったよ」




学校の中の彼らを、燈はそう言った。




全国で最強の暴走族、皇夜の幹部。




それだけでも、注目の的になる。




それに加え、モデルのような顔立ちに、圧倒的なオーラ。




最初はみんな、遠巻きに見ていただけだったけれど、彼らの魅力はみんなを惹きつけた。




「いつも周りに誰かいたね」




男も女も関係なく、彼らは誰とでも親しそうに話していた。




「学校、楽しかったのかな…」




薙が少し寂しそうにそう言う。




「みなさん、楽しかったと思いますよ。毎日、笑っておられましたから」




優奈が薙に微笑みかける。




それを聞いて、よかったと薙は言った。




「葉音達もあの人たちと話したことある?同じ学年だけど」




「時々話すぐらいかな〜。挨拶するとかその程度だよ」




結我の質問に、当たり障りない答えを言う。




結我はそっか〜と言って、変に勘ぐられることはなかった。




「笹原さん達は、この学校にはもう慣れましたか?」




多分、この話題を変えたかったのだろう、優奈がそう聞く。




「うん!俺らも毎日楽しんでるよ〜!それより、笹原さんじゃなくて、名前で呼んでよ〜よそよそしいの、俺あんま好きじゃないからさ〜」




「それでは、結我さんとお呼びしますね」




「僕のことも薙って呼んでね!」




顔がいいからなのか、薙の笑顔が可愛く見える。




男に可愛いって失礼だろうから、口にはしないが、燈と近い癒しがあった。




男じゃなかったら、抱きしめてそう。




それより、結局彼らとこうして過ごしているけれど、私たちはこのままでいいのだろうか。




そんな疑問が頭をよぎった。