3階にある一番隅の空き教室。




俺らは、昼休みを合図するチャイムと共にそこへ着いた。




ガラッとドアを開けると、少し埃臭い臭いが鼻を刺激する。




カーテンが靡く音。




シーンとした空気。




心地のいい風。




ここが、先代達のいた場所。




そう思っていたら、「げっ」という、可愛らしくない声が聞こえてきた。




「おい。俺らに向かってげってなんだよ」




見るからに嫌そうな顔をするこいつを、俺は屋上で見ている。




なんで、お前らがいるんだ。




率直にそう思った。




「なんで、あんた達がここに来るのよ」




そう言った、茶髪のショートヘアの奴を見る。




こいつは、俺らにガンとばして奴か。




屋上にいた時と同様、俺らに突っかかってくる。




「それはこっちのセリフだ。なんで、お前らがここにいるんだよ…っ」




そうだ。だから、なんでお前らがいる。




ここは、先代と、その大切な人達が過ごしてきた場所なんだよっ。




お前らみたいなやつに、汚されてたまるか。




「私達がいたら悪いの?転校生のあんた達なんかに明渡さないわよ!」




悪い、なんて生ぬるいもんじゃねぇんだよ。




ここが唯一の手がかりなんだ。




真実を知る、唯一の手がかりだっつうのに…




「は?ここはな、俺らの大切な人達が使ってた場所なんだよ。お前らみたいなゴミが使っていいとこじゃねぇ」




分かったら、さっさとどっか行ってくれよ…っ




って、願ってみても、こいつら素直に出て行く奴らじゃねぇよな。




「すみませんが、あなた達と同じように、私達にとっても大切なところなんです。お引き取りください」




そう言った、金髪の女は真剣そのもので。




俺は、やっぱりか、と内心呆れた。




こんなん、言い合っても埒があかねぇ。




そう思った俺は、さっきからずっと気になっていることを問い詰めることにした。




「…お前ら、いつからここにいるんだ?もしかして、あの人達の大切な人達って…」




お前らのことか?って聞けなかった。




認めたくなかった。




先代達があんな楽しそうに笑うところを俺は見たことがなかった。




ずっと一緒にいた俺たちでもそんな顔をさせることができなかった。




たまたま学校で出会った女が、先代達を救ってくれたなんて思いたくなかった。




ましてや、それがこいつらなんて…




認めたくない。




少しの間のあと、黒髪のロングヘアの奴が、「半年ぐらい前だけど」そう淡々と述べた。




半年前。




丁度、先代達がいなくなった頃。




半年前に見つけて、ここにいる。




そんな都合のいい話があるのか。




先代の大切な人達が、今どうしているかなんて知らねぇが、きっとまだ学校にいるはずだ。




証拠なんてものはなかった。




勘だった。




ただ、なんとなく、そう確信していた。




そして、こいつらが嘘をついていることも。




まぁ、今はどんだけ俺が問い詰めようが、答えることはねぇだろうな。




仕方ねぇから、今はそういうことにしておいてやる。




だが、ぜってぇ、お前らの嘘を暴いてやる。




そしたら、俺はあの日の真実に辿り着ける、そう直感で思った。




碧斗side end