窓から差し込む光で目がさめる。




時計を見ると短針は6を指していた。




背伸びをすると無意識の内にくぁと欠伸もしていた。




まだ瞼が重たい。




とりあえず体だけ起こす。




少し赤みがかった長い髪が揺れる。




まだ冬の余韻が残っていて朝は肌寒い。




そのまま数秒ぐらいボーとしていたが、流石に準備をしなければとぬくい布団をしぶしぶ剝ぎ取る。




クローゼットの取っ手にかけてある制服を見る。




制服は同じなのに、ネクタイの色が黄色から赤色に変わっただけで新鮮味を感じる。




「もう高3か…早いなー」




なんて、誰もいないのに呟いてみる。




その言葉があまりにも罪深くて。




窓の外から木々の擦れる音が聞こえる。




まるで嘲笑っているようだ。




”早い”なんて思えるようになったんだ、と。




あの時が幸せすぎて。




時間の流れを忘れるぐらい。




どっぷりと、あの暖かい日々に浸かっていた。




”そんなこと許されなかったのにね”




そんなことをさも言っているかのように、もう一度サァという音が聞こえた。