キミと出会ったのは
入道雲に手の届きそうな
夏のある日のことだったーーーー。
僕は進路に頭を悩ませながら
1人中庭で大きな空を眺めていた。
辛うじて進学校に通う中、
良くも悪くも…どちらかといえば悪い成績が僕の進路を濁らせていた。
「あーあ…もういっそニートになっ…ちょっ、え、いや、待って待って!!!」
屋上のふちに見える影、
それは紛れもなく人間の影だった。
「っ…はぁはぁ…はぁ…」
何を考える間も無く階段を駆け上がっていた。
バンッ!!
勢いよく屋上のドアを開けると
フェンスの奥にはエメラルドグリーンの大きなカーディガンを羽織り、
毛先だけが少し巻かれた長い髪をなびかせる少女がいた。
カーディガンからチラリと見えるスカートはここの学校のものだ。
「ねっねえ?そんなとこで何やってるの?!ちょっ1回こっち戻ってきなよ!お、お、落ち着いて、さ?ね?」
「っっ…っははははは!そんな焦っちゃって。変なの〜」
彼女はそう言って振り返り、
フェンスを乗り越えた。
微笑みながら歩いてくる彼女の右目には
眼帯が巻かれていた。
「私が飛び降りるように見える?」
彼女は笑いながら僕にそう問いかけた。
「まあ。あんなところにいたら…。」
「へぇ〜やっぱそうなんだ〜。」
「そうなんだ〜って…。」
僕は彼女の発言にただ呆然としていた。
「まあいいじゃん?ね、名前は?」
「あっ、葵!」
「ふーん、葵かぁ、私は凛!よろしくね!あーくん!」
凛は引き込まれるような笑顔を浮かべ
僕を“あーくん”と呼んだ。
