では、同居でお願いします

「ああ、なんだか色々察しました」

「うん、ごめん」

「とにかく週末にはお掃除に行くから」

「うん、ごめんなさい」

何回謝るのか。イヤな予感しかしない。

ポンポンと回した手で裕哉の背中を軽く叩いて、仕事を促した。

「さあ社長、今日も一日忙しいですよね。早く諸岡さんと打ち合わせしましょう」

「うん、そうだね」

いくらか名残惜しそうに私を手放した裕哉の、ちょっとだけ寂しそう表情に胸がキュッと締め付けられる。

そんな感情を忘れたくて、精一杯仕事に打ち込もうと決心する。
それなのに、タイミングは私を見放していた。

テーブルの上に置きっぱなしの裕哉のスマホが着信を知らせる。

「社長、着信です」

手渡そうとして、目に飛び込んできた画面表示に息を呑み込んだ。


『内海佐和乃』


そう、裕哉の彼女だった。