「ところで従兄弟って結婚できるの?」

(血縁関係があると結婚できないんじゃなかったかな?)

いやいや、と冷静に考える。

その前に、裕哉の結婚に対する考えが絶対に間違っているとの確信が私にはあった。

「もちろん、大丈夫だよ」

「ソウデスカ」

一縷の望みが絶ち切られた。

まあいいや、とあきらめのため息をこぼす。

(これからゆっくりと誤解を解いていけばいい)

ふと自分の考えを振り返り、自分は何をこんなにも拒んでいるのだろうかと冷静になる。

好きな相手、到底手の届かないと思っていた相手から、告白された。
しかも一足飛びだが結婚して欲しいとまで言われている。

それをなぜこんなにも警戒しているのだろう。

素直に「嬉しい」と微笑んで、彼の胸に飛び込んでしまえないのだろうか。

裕哉の想いが本当に単なる男女の関係だったら?

――あり得ない。

すぐに結論づける私の脳内。

――それはどうして?

問いかけても、明確な答えは求められない。


裕哉が子どもっぽいから? 勢いだけで言っているから? 従兄弟だから?


けれど実は心のどこかで気がついている。

様々な理由をつけて予防線を張っていると。