では、同居でお願いします

だからその大好きと、結婚するの好きはレベルが違うのだと伝えたい。

けれど嬉しそうにニコニコしている裕哉に、違いを説明する気に今はなれなかった。

「仁が僕に足りないのは押しと粘りだって言ってたからね、今回は諦めない。いつもはすぐにもういいやって思ってしまうけど、海音ちゃんのことは諦めないから」

「ああ、言ってたね、諸岡さん。……まあ、じゃあ、いずれお互いが納得できたら」

なんて曖昧な言葉で濁そうとしたのに、裕哉はポケットからスマホを取り出すやどこかにかけ始める。


「待って!!」


慌ててその手をガシッと掴み、スマホを取り上げた。

「どうしたの?」

不思議そうに聞いていくる裕哉は無垢な目をしているが、これは絶対にやばい!


前回、一緒に住まわせてもらうとの話になった時、その場で私と裕哉と両方の親にすぐさま電話をした。今回ももしや同じことをしようとしているのではないか。

あの時は、なんて仕事が早い、さすが切れ者と感動したものだが、今はそれをやられてはまずい!

結婚とかいきなり話が出たら、私の親は間違いなく倒れる。

しかもその相手が従兄弟とか。

驚きすぎて心臓発作でも起こしかねない。