では、同居でお願いします

(うん、絶対に怪しいよね。これ、子どもが「お母さん大好き! 結婚してね!」とかいうやつだわ)

納得した。

「あのさあ、ちゃんとわかってないかもしれないけど、親愛の好きと、恋愛の好きは別物なの」

「わかってないのは海音ちゃんの方」

そう言って裕哉は真面目な表情で私を真っ直ぐに見つめた。

「僕は一緒に住んでいた時から、海音ちゃんが好きだった。何にでも一所懸命に取り組んで、僕のためにいつでも頑張ってくれて……そんないじらしい姿を見せられて、好きになるなと言う方が無理。いつでも触れたくて、でも距離を詰めると嫌われるかもって、結局頭を撫でるくらいしかできなくて……でも酔った勢いで抱きしめてしまったり……って全然気づいてくれてなかったんだ」

シュン、と寂しげに俯いた裕哉に言いたかった。

(わかるわけない! あれで気がつけと言うほうが無理あるでしょう?)

「と言うか……裕ちゃん、今までどんな恋愛経験をしてきたの? 彼女だっていたんでしょ?」

これだけの外見と能力のある人だ。私生活さえ見なければ、モテないはずがない。相当な場数を踏んできていても不思議はない。