では、同居でお願いします

「海音ちゃん……泣かないで。本当にごめんなさい」

困り果てた声の裕哉の話し方が、叱られてシュンとなってしまった子どものようになる。

(優しい人……)

私生活は頼りないけれど、心根はとても優しい。

泣いてしまった私を、どう扱っていいのか困っている。

この人に迷惑をかけるのは終わりにしたい。側から離れたい。

ふるふると彼の胸に額をすりつけるように顔を横に振る。
濃くなった裕哉の使う香りが匂い立ち、尚一層胸を締め付けた。

いいの、となんとか息を整えて言葉を喉の奥から送り出す。

「いいの、裕ちゃん。私が役立たずだって、わかってる。……私のほうこそ……」

そこで顔を起こした私は、泣き濡れた瞳で裕哉を真っ直ぐに見つめた。

「今まで働かせてくれてありがとうございました。なるべく早く次の仕事を見つけるので、あと少しだけは働かせてください」

ペコリと頭を下げると、また涙が溢れてきて、もう顔を上げることができなくなってしまった。

そんな私を裕哉ギュッと力任せに抱きすくめ、ごめん、ともう一度体の芯から絞り出すように告げた。

(もういいのに……私が勝手に想っていただけで、裕ちゃんにとっては単なる従姉妹だってことだけ。秘書でも家政婦でも、どっちでもいいんだよね。もうわかってるから……。そんなに泣きそうな声で謝らないで)

そう言って頭を撫でて慰めてあげたい衝動に駆られる。けれど実際は心が痛くて身動き一つできないでいた。