では、同居でお願いします


紀ノ川さんが部屋へ帰ってから、裕哉には新しくコーヒーを淹れ直してあげると、くつろいだ様子で部屋の中を見回す。

「海音ちゃん、綺麗にしてるね、部屋」

「まあ……裕ちゃんの部屋に比べれば、大体の部屋は綺麗だと思うよ」

「そうだね」とあっさりと認めた裕哉は、笑顔を納めて問いかけてきた。

「海音ちゃん、仁と付き合わないなら、やっぱり僕の部屋で一緒に住もうよ」

「はああ!?」

わりと素っ頓狂な声が出てしまった。

「だってストーカーもまた出るかもしれないし、一人は心配だし」

(一緒に住もうとか、どうしてこの人は軽く言っちゃうかなぁ!)

従兄弟として心配してくれているのはわかる。しかし今の私にとっては罪な言葉でしかない。

「あのねえ、裕ちゃん。いくら従兄弟でもやっぱり男女で同居は不自然だよ」

「ええ~、ちょっと前までは一緒に住んでたのに」

口調が子ども化してきる。ダメモードに入ったらしい。

ここはちゃんと説得しておかなければ、また家政婦として働かされてしまう。

彼女とのことは誤解だと判明したけれど、それでも自分の気持ちに気がついた以上、同じ屋根の下で暮らすことなど、到底無理だ。

今度、本当に裕哉に好きな人ができた時、私はもう耐えられない。

そばにいることさえ辛い。

だから断るだけだ。
それ以外の選択肢などない。