「仁と付き合うって話は……どうなったの?」
沈黙から一転、いきなり本題に斬り込んできた。
「それは、お断りしました」
また胸が痛くて疼く。
諸岡さんにはひどいことをしてしまった。
こんなことになるなんて、軽率に返事をした自分を叱りたい。
「断ったんだ。仁のこと嫌い?」
そんな聞き方はずるい。
嫌いで断れたのなら、もっと割り切れるのに。
フルフルと首を振り、それから小さな声で答える。
「諸岡さんのことは尊敬します。でも付き合うという気持ちとは違うから、やっぱりお付き合いはできないと、そう思い直しました」
言い終えると同時に裕哉は車を止める。
もうマンションに着いてしまったのだ。話をするには、会社からマンションまではあまりにも短い距離だった。
「海音ちゃん、本当に僕を安心させたくて仁と付き合うってことにしようとしたの?」
問い詰める声に私は顔を上げることができず、こくりと頷く。
すぐに裕哉は大きな溜息をこぼした。

