では、同居でお願いします

それならば、答えは一つしかない。

コクリと唾を呑み込んでから、私は震える声で伝える。

「わかりました。諸岡さんのお気持ち、わかりました」

「そうですか、ではお付き合いくださると」

私の両脇から手を放した諸岡さんが眼鏡をクイと押し上げる姿は威圧感がある。

そんな圧力に負けないように頭を下げる。

「すみません、やはりお付き合いできないとはっきりしました」

「は? どういう意味でしょうか?」

戸惑うというよりは、問い詰める口調の諸岡さんに、恐ろしくて顔を上げられず、頭を下げたまま一息に告げた。

「お互いに打算だけだと思っていたから、付き合うことに了承しました。けれど諸岡さんのお気持ちが私に向いているというのであれば、私が他を向いている状態では付き合えません。それでは諸岡さんのお気持ちを無下にすることでもありますし……私自身の気持ちも、無下にしてしまうことになります」

 なので、と顔を上げてから、諸岡さんの眼鏡の奥の瞳を見据えた。