「警察に――」
「通報しました。すぐに来てくれるそうです」
歩道に転がっていた紀ノ川さんが、私の言葉に被せるように藤川に言ってから、私に顔を向ける。
「今度は本当に通報しましたから。それ、録っておいてくださいね」
紀ノ川さんは私が録音していることに気がついていたのだ。
それで言い合いの証拠となる音声があるから、警察をよんだのだろう。
ケンカは弱く力もなさそうだけれど、頭の回転と行動の大胆さに感心する。
紀ノ川さんは弱い人ではない。
動くときにはちゃんと一歩を踏み出せる人なのだ。
「おまえ……余計なことをするんじゃねえよ。これはみおと俺の痴話げんかってやつ。犬も食わねえっての」
「少なくとも井波さんにとっては痴話げんかではありません。僕に暴力も振るっていたので、傷害罪でもありますし、ストーカー規制法にも抵触していると思います」
「ごちゃごちゃうるせえよ!」
また拳を握り、振り上げた藤川に紀ノ川さんは後退りながら、それでも言い続けた。
「言いたいことがあるなら警察で話してください。あなたがどう思っていたとしても、相手が嫌がっているのにマンションの前で待ち伏せしているのは、ストーカー以外のなにものでもないですから」
滔々と話す紀ノ川さんに驚きが隠せない。
「通報しました。すぐに来てくれるそうです」
歩道に転がっていた紀ノ川さんが、私の言葉に被せるように藤川に言ってから、私に顔を向ける。
「今度は本当に通報しましたから。それ、録っておいてくださいね」
紀ノ川さんは私が録音していることに気がついていたのだ。
それで言い合いの証拠となる音声があるから、警察をよんだのだろう。
ケンカは弱く力もなさそうだけれど、頭の回転と行動の大胆さに感心する。
紀ノ川さんは弱い人ではない。
動くときにはちゃんと一歩を踏み出せる人なのだ。
「おまえ……余計なことをするんじゃねえよ。これはみおと俺の痴話げんかってやつ。犬も食わねえっての」
「少なくとも井波さんにとっては痴話げんかではありません。僕に暴力も振るっていたので、傷害罪でもありますし、ストーカー規制法にも抵触していると思います」
「ごちゃごちゃうるせえよ!」
また拳を握り、振り上げた藤川に紀ノ川さんは後退りながら、それでも言い続けた。
「言いたいことがあるなら警察で話してください。あなたがどう思っていたとしても、相手が嫌がっているのにマンションの前で待ち伏せしているのは、ストーカー以外のなにものでもないですから」
滔々と話す紀ノ川さんに驚きが隠せない。

