「んだよ、口ほどもねえな」
藤川の言葉は同意に値するが、今はそれどころじゃない。
「紀ノ川さん、大丈夫ですか!?」
「……死ぬかと思いました……僕はケンカはダメです」
うん……それは見ていたらすぐにわかりました。
ごめんなさい。一瞬期待した私が悪かったです。
こんなに弱いのに庇ってくれた紀ノ川さんの姿に、怖がっている場合じゃないと思った。
「暴力で解決できると思ったら大間違いだから。今後つきまとうなら警察に言う」
迷いなく言ったけれど、少しだけ声が震えていた。
「生意気を言うなよ。おまえは俺の言うこと聞いてりゃいいの。そこの弱い男なんざ、なんなら二度と見られないような顔にしてやってもいいんだぞ」
「脅しなんか怖くないから。いい加減に帰ってよ。二度と顔を出さないで」
「うるせえ女に育ってしまって残念だぜ。俺が可愛くなるように調教してやらねえとな」
酒を飲んでいる藤川に、少しも話が通じない。
それでも、さっきからずっとスマホでやり取りを録音しているから、ストーカーとして警察に相談できるだろう。

