「なあ、みお。俺とよりを戻せよ」
「二度と近寄らないで。あなたとなんてもう関係ない」
「随分な口をきくようになったんだな。高校生の時は素直で可愛らしかったのに」
「あなたも随分変わったね。仕事、してないから私にたかろうとしているんじゃないの?」
諸岡さんが指摘したように、よく見ればいつもスーツなど着ていない。
そのことを指摘した途端、藤川は眉根をギュウッと寄せた。
「うっせ。みお、おまえ働いてんだろ? 昔、さんざん世話してやったんだからちょっとは恩返ししたらどうだ? 亀でも鶴でも恩返しくらいするんだぜ?」
恩を受けた覚えなどない。
藤川には、手酷く傷つけられた思い出しかない。
ムクムクと怒りが湧き上がる。
勝手なことを吐き続ける藤川にも、そんな男に若さ故とはいえ引っかかってしまった愚かな自分に、堪らない怒りが湧き上がった。
「これ以上つきまとうなら警察に通報するから」
紀ノ川さんが肩を抱いてくれているから強気になれた。

