では、同居でお願いします

「では改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。……海音さん」

名前で呼ばれて、とてもくすぐったくなる。

急に恥ずかしさが込み上げ、顔が熱くなる。
きっと耳まで赤くなっているだろう。

サッと俯いたまま、顔が上げられなくなり、俯いたまま膝の上で組んだ自分の手を見つめる。

「諸岡さん、ひとつだけお願いしてもいいですか?」

「なんでしょう?」

やけに声が優しい。まるで本当に恋人に向けているような甘さがある。

自分の悪あがきを心の中で謝りながら、最後のお願いを声に出す。

「お付き合いするのは、来週まで待ってくださいませんか?」

「来週? あの、何か不都合でも?」

いえ、と顔を上げた私は、いくらか眉を寄せる諸岡さんを真っ直ぐに見つめた。

「私のわがままを許してください」

「いえ……許すも何も……これは私からお願いしたことですから……。もちろん、来週からで結構ですよ」

笑みを見せてくれた諸岡さんは、やはり深く詮索することはなく、「では改めてゆっくりと食事を楽しみましょう」と促してくれた。