「で、話は戻しますが…」



「ん」



「淳先輩は梨花先輩と別れたくないんですよね?」



「もちろん!!」



そう。俺は絶対に梨花と別れたくない。



てか、そもそも別れ話自体、意味が分からない。



昨日までラブラブだった。いや、あのメールが送られてくる直前まで、俺達はラブラブだった。



彼女が怒っている素振りなんて微塵も感じなかったし、自分が何かやらかしたとも思えない。



ほんと訳が分からない。



「じゃあ、簡単です。その気持ちを素直に伝えればいいじゃないですか」



「あー…うん。いや、その通り…なんだけど…ね…」



「ん?」



そうなのだ。俺にだって拒否権はある。嫌だ、と一言言えば簡単…な話ではないが、状況は少しぐらい変わる。それぐらい俺にだって分かる。



でもそれが出来ないから悩んでいる。それが出来ないから、2人に相談している。



「あっ…もしかして、あっくん…梨花ちゃんに着拒されてんじゃ…」



「………」



「えっ…マジで?」



「………マジっす」



「うわぁ…そりゃキツいわ」



いつの間に復活したのか、隣で抹茶パフェをつついていた海くんの何気ない一言に消沈してしまった俺は、テーブルに頬をくっつけながら、汗をかいたグラスに人差し指で“のの字”を書き続けた。