ゆびさきランデブー

「芽依子ちゃん…」



「はい?」



「俺、頑張ってみるわ」



「はい。その意気です!!“生徒会のオトン”ならオトンらしく、『黙って俺についてこい!!』ぐらい言っちゃえばいいんです!」



「それは…えーっと、キャラ的にちょっと…」



「そーだよっ!芽依子サン!それはちょっと無理だって!!うちの生徒会“カカア天下”だもん。ケンちゃんの尻に敷かれてるあっくんにそんなに権力ナイナ…」



「先輩は黙っててください」



「……申し訳ゴザイマセン」



「まったく…人が良いこと言ってんですから空気読め!ってんです」



「……スミマセン」



せっかくいい感じで締まっていたのに…。最後の最後でお約束。



俺は目の前で繰り広げられる夫婦漫才を見つめながら、やれやれとばかりに首を振った。



この2人…いや、勇気をくれた芽依子ちゃんには感謝はしてる。でも、このままこの2人に付き合っていたら1時間…いや、下手したら朝になること間違いナシ。



てことで、そろそろ…。



「じゃ、ちょっくら行ってくるわ」



「「へ?」」



テーブルの上に投げっぱなしになっていたスマホをポケットに入れ、伝票片手にいそいそと立ち上がった俺は、ポカンと口を開ける2人にニコッと笑みを向けた。



「えと、何処…に?」



「何処って…梨花んち」



「おぉ!!」



そんなの今更だろ…と思ったりもしたが、「頑張れ!!」と、笑顔の海くんにそんなことは言えない。



俺はギュッと握り締められた手を笑顔でやんわりと解くと、「サンキュ!!」と、出口に向けて歩きだした。



よし。いざ行かん!!決戦の地、梨花んちへ!!



そして気合い充分、伝票ごとグッと拳を握り締めた…瞬間。



「淳先輩。梨花先輩なら家には居ませんよ」



「………はい?」



俺は勢いよくテーブルに舞い戻った。