ゆびさきランデブー

「淳先輩が梨花先輩のこと好きなの、梨花先輩絶対分かってます。口に出さなくても分かってると思います。でも言葉って本当に大切で…以心伝心なんて言葉もあるけど、あたしだったらやっぱり大切な言葉は口に出して欲しい。直接聞きたい。文字で読むんじゃなくて、面と向かって口にして欲しいです」



「直…接?」



「そうです」



「でもそれって今更というか…改めて言うのは俺的にはハードル高すぎるような…」



「今更って…それってエッチしてるから大丈夫だと思ってません?まぁ、確かに言葉よりも大切なことっていっぱいあると思います。でも、それでも、大好きな人だからこそ言葉が欲しい。声が欲しいです」



「声?」



「そうです。とっても当たり前のことなのに、気持ちを伝えるのってすごく勇気がいりますよね。あたしも先輩に気持ちを伝えた時、すっごくドキドキしました。“好き”は…今でもほんの少しだけドキドキします。でも、だからこそ嬉しいんです。それが貰えた時、本当に幸せなんです」



「幸…せ…」



「はい!!だからあたし、今とっても幸せなんです!!」



目の前には、はにかみながらもニッコリと満面の笑みを浮かべる芽依子ちゃん。



「芽依子サンが…芽依子サンがいいこと言ってる。俺、キュンてしちゃった」と、若干瞳を潤ませ胸を押さえる隣の海くんはさておき、俺は芽依子ちゃんの言葉を頭の中で繰り返しながら軽く深呼吸するとゆっくりと瞳を閉じた。



“当たり前だからこそ大切”



“だからこそ嬉しい”



“本当に幸せ”



そうだ。もう一度、ううん。何度だって頑張ればいい。



「いいじゃないですか!フラれたって!!フラれたらもう一度告白すればいいんです。今度はメールじゃなく、淳先輩の声で。言葉で」



そうだ。フラれたなら、もう一度振り向いて貰えばいい。



そして梨花にも芽依子ちゃんみたいに笑って欲しい。



笑顔で“幸せ”って言って貰いたい。