いじけてる場合じゃないのは分かってる。



でもキツいものはキツい。



無視もツラいが、着拒は……俺、涙が出ちゃう。



「あ、でもよく考えてみて、あっくん!!着拒されてんなら会えばいい。うん、そーだよ!!会いに行けばいいんだよ!!梨花ちゃんちに!!たかが着拒じゃん!!会いに言って拒否られたわけじゃないんだし、まだ全然大丈…」



「メールでこんななっちゃうのに…」



「え?」



「会うなんて俺には無理。梨花の口から別れの言葉なんて聞かされた日には俺…」



「でも!」



「無理」



「あっくん…」



遠慮がちに呟く海くんに申し訳なく思うが、直接会うなんてやっぱり俺には無理。



現実を受け入れるのに一晩。



見慣れた番号を見つめること30分。



通話ボタンを押すのに小1時間。



こんなチキンな俺。直接会うなんて、とてもじゃないが無理だ。



「はぁ…」



書いても書いても次々と浮き出る水滴。



初めはひんやりと気持ち良かったのに、今じゃすっかりぬるくなってしまった。



人差し指を伝う水滴がポタリとテーブルに落ちる様は…なんだか虚しすぎる。



「はぁ…」



「あっくん…」



心配げに見つめてくる海くんの優しさに鼻の奥がツンとする。でも出てくるのは涙じゃなく大きな溜め息だけで…。俺は指を伝う水滴を親指で拭うとグッと拳を握った。そして小さな水溜まりの出来たテーブルにパタンと指を落とした。瞬間、



「……そんなだから振られるんです」



「え?」



「淳先輩がそんなだから振られちゃうんです。淳先輩がそんだから…梨花先輩、愛想尽かしちゃうんです」



目の前で呟かれた言葉に、俺はパッと顔をあげた。