「少しは俺のこと知ってくれた?」 数秒の沈黙を破るかのように、先輩が口を割った。 「あ、はい…。少しは!」 「よかった。俺、待ってるから。あの時の返事。」 「は、はい……」 「じゃあ、また部活でね!」 先輩はそう言って、ねこの腕を持ってばいばいと手を振らせた。 「ふふふ」 思わず笑みがこぼれる。 先輩、可愛い人だな。親しみやすいっていうか。 私は家に帰りながら、そんなことを思っていた。