「大したことねぇって。」






旭は明らかに怪我をしている腕を隠すように言った。







「大したことないわけないじゃない!だから最近調子悪かったの?」







「何でもねぇよ。」







「怪我してるから大会を棄権するんでしょ?!何でずっと隠してたの?言ってくれれば良かったのに!」







「……それだけじゃねぇよ。」








「え?」








「とにかく、何でもねぇから。じゃあな。」







私の返事も待たずに、旭はさっさと行ってしまった。







こんなのよくない!







だって…あんた一人の問題じゃない。







先輩だって…








「旭!!!!」







私は旭を追いかけた。







「うわっ、なんだよ。」






「テニスが上手く出来なくて、落ち込むのも分かるけどね!みんなのことも考えなよ!私だって…心配するんだから!」







いっつもこう。







あの日もそうだった。







素直になれない。







たった一言が言えない。







旭が好きだって。