あ そ ぼ

辺りを見回してみる…

ふと、視線を近くから遠くへ
一直線上に…
桜並木から秋の紅葉へと
色変わりしつつある
手前の木々から…
奥の距離のある裏庭に
目をやると…
物置あたりに人影が居た

この時間帯にあそこに
人が居ても何も不思議はないが、
その人は1人ポツンと棒立ちで
立ち尽くしていて
――
望希の言うように、
こっちを見ている気がした

顔は見えなかったが
その人はそこから
去っていったので
とくに気にはとめなかった

「気のせいだよ?
あ…そういえば怪我、
痛くないか?」
「え…あ、うん。
保健室の先生に手当て
してもらったから…大丈夫」

それからは一言 二言
話して、あとは静かに帰った…