カランコロン、と懐かしい鈴の音。




木の匂いも、構造も、何もかも。




「どちら様?」




キッチンである所から、バタバタと急ぐ足音。



「アニさん、ただいま」




開いた扉から、風が私の髪をなびく。




少し初夏の匂いを連れてきた。




「マ、ディー…」




アニさんは私の前で、雪崩るように落ちた。




「良かった、無事で……。生きていて、良かった…」




涙を流すアニさんを見て、私の涙腺は崩壊した。




「ごめんなさい、手紙を出さずに…。ごめんなさい、私のわがままで置いて行っちゃって…」