終わらない英雄の記憶

俺は椅子を引き、部屋に戻ろうと歩き始めた。


「フィンっ」



いつも聞いている声で、懐かしい呼び名。



涙が出そうだった。



「フィン、お前も決めた女を大事にしとけよ」



走って階段を上ってきたサンダーに、胸を押される。



「女ってのはな、儚いものだぜ。突然現れたと思いきや、突然消えるんだ」



別に心に決めてなんかいない。



あいつと俺は、メイドと主の主従関係だ。



「ありがとう、それとおめでとう。その言葉をそのまま返すぞ。マリアさんを大切にしろよな、兄さん」