───二月十一日、木曜日。
タイムリミットまで、あと三日。
「真央くん真央くん」
「……なに」
「真央くんの作ったチョコレート食べたい」
「なんで」
ギロリと真央くんが私を見た。でも、そんな鋭い視線にも負けないのが私。それに、最後にどうしても真央くんのチョコレートが食べたい。
「なんでもっ!食べたいから、食べたいの!お願い!」
「……なんで今やねん。もう時期バレンタインあって、ホワイトデーもあるやん。ホワイトデーにお返しあげるからそれでええやろ」
「ぬっ……ホワイトデーじゃ間に合わないの!お願い!今食べたいの!」
「間に合わへんて何が」
「なっ……何にもないけど!一日も早く食べたいの!ね? いいでしょ?」
必死で頼み込むも、意思の固い真央くんが折れてくれるわけもなく、私は結局断念してしまった。

