「うう……ごめんなさい」
「とにかく、これ先に渡しとく」
真央くんの上着のポケットから出てきた手のひらよりも少し小さいくらいの箱。
茶色の箱に赤いリボンがよく映えている。
「あっ……え、もしかして、逆チョコ……? 本当に作ってくれたんだ……!」
まさか本当に作ってくれるとは思わず、嬉しさのあまり私はすぐにリボンに手を掛けた。
リボンを解いて箱を開けると、そこにあったのはなんだか懐かしいようなシンプルな四角いチョコレート。
「……これ、見ても分からん? ちゃんと好きやから付き合ってるって」
「えっ……」
「あんな風にしつこくアタックされたりまとわりつかれるん分かってて、あえてこのチョコレート作ったんはなんでか分かるよな?」
真央くんの言いたいことは、なんとなく分かった。彼は不器用で私は鈍感だから、本当に、なんとなくだけれど。
「初めは、正直引いてた部分もあった。っていうか誰でも引くやろうけど、でも、俺の作ったチョコレートをあんな風に言うてくれる人も、めっちゃ美味しそうに食べてくれるんもゆきしかおらん。普段はこんなことよう言わんから伝わりにくいかもしれんけど……ちゃんと、好きやから」

