怖い。辛い。苦しい。嫌だ。もっと一緒にいたい。別れたくない。
沢山の感情と欲が湧き上がってくる。どんどん湧き上がってきて、涙として瞼の裏に溜まっていく。
私はまた、大きく深呼吸をした。
「……真央くん、私達、別れよう?」
涙が、溢れてしまう前に。本当の気持ちがバレてしまう前に。私は偽りの言葉を発した。
真央くんから、返事はない。表情も怖くて見れない。
……ひょっとしたら、清々して、スッキリしたような表情でいるかもしれないな。なんて考えた。
「えっと……だからね、最後にチョコレート作って来たの。下手くそだけど、受け取ってもらえると嬉しいな」
俯き加減で、下手くそに笑った。
自分でも分かるくらい下手くそな笑顔。それに真央くんが気づかないわけがなかった。
「……なんで?」
「えっ……」
「理由は?」
「理由って……それは」
驚いて真央くんを見ると、彼はいつもと変わらない表情だった。

