【短編】マイ・スイート・ショコラホリック


私達が付き合った一年前のバレンタインデーだって、そうだった。

あの史上最高に恥ずかしい出会いをしてからずっと頑張ってアタックを続け、そろそろ心が折れそうになっていた時。あの時も、私はこのバレンタインデーを最後に真央くんを諦めようとしていた。

最後だからと、不器用ながらにしてチョコレートを作り、真央くんに渡した。

そうしたら真央くんは『ホワイトデー返すから。待ってて』って言ってくれたんだ。

あの日から私はずっと、真央くんに我慢や迷惑をかけちゃってるけれど……それも、もう終わり。


「真央くん真央くん」

「なに」

「えへへ、何にもっ」

「なんやねん。気持ち悪いなぁ」

「真央くんからの逆チョコレート、楽しみだなぁって思って」

「考えとくとは言うたけど、あげるなんて言うてへんから」


ほんまにお前は、と溜息交じりに言って呆れている真央くんに私はヘラヘラと笑いかける。

ごめんね、真央くん。私のこんな我儘も、あと少しだけだから。あと少し……我慢してね。