「逆チョコて……結構前から話題やけどな」
真央くんの言葉にギクリとした。しかし、そのまま真央くんは「考えとくわ」と言ってキッチンへと去っていく。
リビングに一人取り残された私は、ホッとして一息ついた。
「……よかったぁ」
これで、最後に真央くんのチョコレートが食べられる。最後に大好きな人の作った、大好きなチョコレートが食べられるんだ。
「ん、お茶」
「あ、ありがとう!今ちょうど喉乾いたなぁって思ってたの!」
「うん。知ってる。ずっと喋りっぱなしやったし、せやろうなぁって思ってたから」
───ドクン。
また、心臓の鼓動が高鳴った。
「……ずるいなぁ」
「なに? なんか言うた?」
「えっ!う、ううん!なーんにも!」
こういうところ、本当にずっと変わらない。ずるい子だな、真央くんは。
こうして私が、真央くんを手放そうとしてる時にこんなこと言うんだもん。嬉しいじゃん。私、単純だから、また甘えちゃいたくなるじゃない。

