───翌日。
私は再び同じことを頼んでみた。
「ねぇ、真央くん。真央くんの作ったチョコレート食べたいなぁ」
「……だから」
「本当に!お願いだから!」
両手を顔の前で合わせた。必死で今日もお願いする私に真央くんが不審そうな目を向けた。
「なんか企んでるやろ」
「えっ…⁉︎」
「なんかいつもとちゃうやん。なんでそんな必死なん」
「いやっ、それは……」
「……図星やな。なんか隠してるんやろ。言うてみ」
鋭すぎる真央くんに、私の気持ちが少しだけ高まった。
本当ならハラハラする所なんだろうけど、真央くんが私の少しの変化にも気づいてくれたことがまず一番に嬉しかった。
……なんて、バカなこと思ってる場合じゃないんだけど。まぁ、あと二日だから、こんな小さなことでも噛み締めておきたい。
「……ううん!なにも隠してないよ!もう、やだなぁ!ちょっと今話題の逆チョコ欲しいなぁって思っちゃって! だけどおねだり失敗だぁー、あはは」
出来るだけ、いつもみたいに。おどけて、笑って、必死に誤魔化す。
……どうか、この嘘の裏にだけは気づかれませんように。

