それから、遥輝くんとは別に進展はなかった。唯一、ラインのIDを交換したぐらい。
で、たまに廊下ですれ違っても何にもない。これでよかったんだ。

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あれから二年がたち、私は高校生になった。今日は始業式だ。どんな人がいるのだろう。ちょっと早めに家を出て、バスに乗った。いつものように音楽をかけて、心の中でノリノリになる。
あれっ、あの人なんか見たことがある。
はっきりとは思い出せない。でも、かなりのイケメンだ。彼も、同じように音楽をきいている。そして、窓際に肘をかけて外の景色を眺めている。目が合った。
彼は、小さく会釈してまた、外をみている。私も小さく会釈して返した。

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玄関には大きな紙にクラスが書かれていた。やった、また有紗と一緒だ。遥輝くんとは別のクラスだけど。と、ん?目を疑った。だってそこには佐々野陽太の文字が。
慌てて教室ヘ行って座席表を見ると、席まで隣だ。陽くんは先に席に座っていた。私は恐る恐る座ると。「おはよう。」
空耳だろうか。すると今度は大きい声で
「凛子ってお・は・よ・う。」
「わぁ、びっくりした。陽くんか、もう、朝から驚かさないでよ。」
「バーカ。凛子が気づかないから悪いんだよ。」
普通に喋れてる。嬉しい。きっと、陽くんは気にも止めてなかったんだ。何だ、私だけか、いつまでも引きずってたのは。
「てか、何で?」「なにが。」
「何でここにしたのかなーって。」
「ただ学力があったんだよ。」
「何それ。全然変わってないね。陽くん。」
「お前も相変わらずバカだな。」
「うるさい。」
ほんとに話してることも小学生の会話みたい。でも、それが1番落ち着いて自分が出せてる気がする。
これから、どうなっていくんだろう。
また、陽くんのこと好きになりそう。