部活が終わり、教室を出ようとしたら、七星ちゃんが立っていた。「ごめん、ちょっと来てくれる。」そう言って私に答えるまもなく、腕をひっぱった。
「どうしたの。七星ちゃん。」
外の廊下で止まると、
「あの、陽太と話すのやめてもらってもいいですか。」私は、状況がつかめずにいた。彼女はそのまましゃべり続けた。
「もう、辛いんです。陽太が他の女子とイチャイチャしながら喋ってるの。あなたより、私の方が陽太の事を知ってるの。だから、二度と陽太と話さないで。」
七星ちゃんはあの時と同じように走って門へ出て行った。

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しばらく突っ立ったままでいた。
勝手に涙が出てきた。ふいてもふいても止まらなかった。今日は陽くんと帰る気にはなれなかった。一人で帰り道の公園のベンチに座って、泣き叫んだ。
勝手に好きになった自分が行けなかったんだ。
すると、遠くの方から
「凛子、お前何処にいてたんだよ。」
そう言って陽くんは私の隣に座った。
「話しかけないで。」
もう、帰ろう。そう思い立ち上がって歩こうとした瞬間。私の腕を引っ張ってベンチに戻された。
「こっち、向いて。」
恐る恐る顔を陽くんに向けた。
「なに泣いてんだよ。バーカ。」
すると陽くんは私の頬に両手をあて涙をふいてくれた。
そして、何も言わず抱きしめてくれた。
「俺の前では泣いていいんだよ。」
その言葉に甘え、私は泣き叫んだ。
「わぁー、ごめんなさい。陽くん。」
そう言う私の背中を抱きしめながら、優しくたたいてくれた。
そして離して肩に両手をおき、静かにキスをした。ほんの一瞬だったけど。
「俺な、凛子に惚れた。本気で。」
「きっと、小学校のときからだと思う。」
私は過呼吸になりそうなのを必死にこらえて、「わっ、私もすき。小学校のときから。あの時、陽くんのことが好きなの自分なのに。逃げちゃって。今でも後悔してる。」
「だったら、今からでも一緒になろう。」
「うん。」「さあ、いこっか。」
先に陽くんは立ち上がり、私の手を握って引っ張ってくれた。少し暗い道を手を繋ぎながら、バスに乗らずに帰った。

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今日から陽くんは幼なじみじゃなくて、
私の―彼氏―になりました。