『君色』
― それは、唯一無二の君だけの色
       私は染まっていく君色に―

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それは、何ともいえないドキドキして、胸が苦しくなるような思い。
私は、倉本凜子。クラスの中ではまぁ自分で言うのもなんだか明るい方。勉強は割と得意。でも、運動はちょっと…。
そんな私が初めて好きになった人。
その人は、勉強はできてスポーツ万能でイケメンで完璧男子。当然モテる。
その人の名前は佐々野陽太。

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私と陽くんは幼なじみ。昔っから家も近くて、よく行き来してたっけ。幼稚園ではいつも二人で遊んでた。
小学校に上がってもその関係性はそのままだった。私が陽くんを好きになるまでは…。
好きになったのは、小学六年生のとき、私はその思いをどうしても伝えたくて…。
私は陽くんの下駄箱にちっちゃな紙切れに
『学校が、終わったら講堂に来て。』
来たら、言うんだ ―好きです― って、
ついにその時がきた。
足音がだんだん近づいてくる。
「なんだ、凛子か。何か用。」
何か用って言われても、
「えっと、実は私…。」「ん?なんだよ。急に。」「実は陽くんのことが好き、って言う子がいるの。それだけ。じゃあね。」
どうしても言えなくて、気がついたら門の外にいた。何やってんだ私…。陽くんのことが好きなの自分のくせに。告白なんてしなきゃよかった。もう、陽くんに合わせる顔がないよ。その日は泣きながら帰った。ずーっとずーっと泣いていた。家に帰っても声が枯れるまで泣き続けた。
― 自分のバカ、バカバカバカ ―  

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それから、陽くんとはあまり喋らなくなった。あんなことしなければ今日だって、普通に喋れたのに…。