「あい……さん…相川…」
「………んぅ」
「あ、起きた」
「何ですか……」
「教科書、ありがとう」
「………どうも」
笑顔で教科書を渡してくれても困る。
どのような顔で返せばいいのか分からない。
「相川さんって喋れるんだ!」
「………は?」
「だって、俺のこと無視するだろ?」
「………口あるし」
「ハハッ!そうだな」
高島海人……本当に変な人だ。
口あるし、障害とかなければ喋れるし。
「よし、行こうぜ!」
「何処にですか…」
「え、次、移動教室だよ」
「行きません」
「しんどいのか?なら、仕方ないか」
「先生に言っとく」と言って、出ていった高島さん。
あんなに人と喋ったの久しぶりだった。
そんなことを思いながら、屋上へと向かう。
私が、唯一学校で好きな場所だ。
