「舜ちゃん、まりかなんかごめんね!巻き込んじゃって!」
「ゆーちゃんが謝ることなんてないのよ!」
「2人で話ししてたみたいだし邪魔しちゃったよね!じゃああたし行くね!」
「はっ…ちょっ!ゆめ!」
ゆめの腕を掴もうとした俺の手が宙を切る。
ーーーーゆめ?
届かないなんて、なかった。
きっとあれは、ゆめの気遣い。
でもそれは、ゆめを自分で傷つける気遣い。
ゆめ…、お前寂しいんじゃないのか。
「舜くん…ゆーちゃんどうしたの…?」
「っ…きっとなんか用事でもあったんじゃないかな」
比野が心配そうに目を伏せる。
そんな姿さえも俺をドキッとさせるのは簡単で。
これが恋だと思ったんだ。
「お前らばかなの?」
そんな夢見心地の俺を現実に戻したのはアイツの声。
「どうしたのじゃねぇよ、まりか。」
「えっ?」
「お前って周りが見えてて気遣いできて優しいって言われてたよな?」
「そんな…こと…」
「謙遜すんなよ。でも俺思うんだけど。違うよな?」
「どーゆー意味?」
「お前って自分に得があるようにしか動かねぇ。だから俺はお前が嫌いなんだよ」
「っ!!そんなことない!航平になにがわかるの!?」
「いやでもお前の幼なじみなんだよ、いらねぇことも見えんだよ!」
「お前さ、比野は幼なじみなんだろ?なんでそんなひどいことばっかり言うんだよ」
正直、腹が立ってた。
比野を悪く言うなっていうのと違う。
お前が、こんな奴が、ゆめを庇おうとしてる気がして。
「は?好きでこいつと幼なじみになったわけじゃねぇよ。勘違いすんな」
「お前はさっきから何が言いたいんだよ」
「あいつの顔見えなかったのかよ…」
「顔…?ゆーちゃんなんかあったの…?」
「話になんねぇ。じゃあな」
「ちょっと…航平!?」
か、お…?
なんとなくよぎる嫌なかんがえが。
俺はそんなにも夢見心地にいたんだろうか。
なにをしてるんだよ、俺は。
ーーーばか、俺だ。
周りが見えてないのは、俺だ。

