「俺になんか用なの?」
“黒田航平”という男に問いかけた。
ゆめは涙目でまるで子うさぎのように見てくる。
怖かったな、ゆめ。
不安だよな、ゆめ。
きっとゆめの心の中は今たくさんの気持ちで入り混じってる。
「俺の足思っきし踏んだのに謝んないんだけど?お宅のお連れさん」
「謝ったじゃん!!」
「は?ごめんね〜だけだろ!軽いだろ!」
「男のくせに小さいわよ!航平!」
「…まりかは引っ込んでろよ。お前は関係ねぇだろ」
「あるわよ!私はあなたの幼なじみでゆーちゃんは私の友達!」
「うるせぇな」
「おい、お前。足踏まれたくらいでそんな怒んなくてもいいだろ。」
「痛いんだけど?ちょうど怪我してるとこ踏まれたんだけどこっちは。」
「えっケガ…してたの?」
ゆめが一瞬にして申し訳なさそうな顔になる。
怪我してるなんて知らなくてただ誤って踏んだだけなのにこんな責められてる。
って思ってたんだな。
でも、お前がケガしてるなんて誰もしったこっちゃない。
「ごめんなさい…黒田くん」
「っ、やけに素直だな」
「ケガは…痛いもん。ごめんなさい、知らないとはいえ踏んじゃって…」
「ゆーちゃんそんな謝んなくていいのよ!!!」
「だって黒田くんバスケしてるでしょ?」
「はっ!?え、なんでわかったんだよ」
「荷物となんとなく見てわかったの。」
「…ふーん。」
やけに大人しくなる黒田航平。
ーーーーやな奴。
俺の中ではこうなった。
ゆめもそうだろ?って思っていればそれは違くて。
ゆめはこの人を嫌いじゃない。
やな奴とも思ってない。
ゆめの目はなんだか嬉しそうだった。
ーーーーー俺だって、バスケしてんのに。
「黒田くん、舜ちゃんもバスケやってたんだよ」
「…おまえは。」
「あたし?あたしはマネージャー!プレーヤーとしてやってたんだけど膝がね」
そのあとは話さなかったゆめ。
あの話はーーー…したくないだろうな。

